*****************************************赤い葉**
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
緑の森が闇に染められ黒く反映されるとき。
紅く紅く燃え上がる木々を挟みながら二人の見張り役は何も言わず、ただ腰を下ろしていた。
何も話さない空間だからこそ、より暗闇が深く感じられる。
「少し話しても良いかな。」
一人がその静寂を壊さぬような音声で言った。
「どうかしたか、アラゴルン。」
それに応える様に、もう一人が言った。
「例えばの話だが。」
アラゴルンはボロミアに話を持ち掛けた。
ボロミアはアラゴルンの話に相槌を打ちながら、話を聞いている。
「もしもだ。今どうしても離す事の出来ないものがあって、目の前に…手の届くところに何よりも欲しいものがある。
だが、それを取るには今もっているものを棄てなければならない。」
アラゴルンは地面においてあった木々の枝を、炎の中に投じながら淡々と云った。
「お前なら、この時どうする?」
どうしようもない不安を抱えている子供のようにアラゴルンはボロミアに問う。
ボロミアはそうだな、と考え込んだ。
その時、また闇は一段と深くなった。
パチパチと音を立て燃え上がる炎は二人の顔を明るく映しだす。
「…それは、間違いなくエルフのことだろう。」
苦笑いをしながら、ボロミアはアラゴルンを炎を通して見た。
「裂け谷の姫のことではないのか?」
確認を取るように、アラゴルンに訊ねた。そして、もう一人は…と口を開く。
「レゴラスだ。」
姫と王子なんて滑稽だろう?とアラゴルンは口元で笑った。
自分を嘲る様に言うアラゴルンを、ボロミアは静かに見つめた。アラゴルンの灰色の瞳は何処か遠くを見るように、そう思えた。
 
 
 
 
「――そう、例えばの話だ。」
初めのアラゴルンのように、ボロミアは話を持ち掛けた。
アラゴルンは度々風により消え入りそうになる炎に枝を折っては折っては放り込んだ。
「私が守り抜くものは我が国、ゴンドールであり私にとってそれは何よりも大切なものだと。」
アラゴルンは、そうだなと穏やかに見守るかのように言った。
「自分は崖にいて、左手にはゴンドール。右手にピピンが居たとするだろう。」
そこでだ、とボロミアは続けた。
「どちらかしか選べないと言われたとき、私は…」
「ピピンを取るのか?」
アラゴルンがホビットたちの眠るほうを見ながら、訊ねた。
ボロミアも同じくそこを見、寝ている姿を微笑ましく思いながら応えた。
「ゴンドールは棄てられないさ。民も父も弟だっている。何より、これからあんたが治める国なんだからな。」
だろう?とボロミアはアラゴルンに言う。
アラゴルンは苦笑しながら、国王かと呟いた。
「それでは、その反対か?でもお前はピピンを離せないだろ?」
情深い奴だからなとボロミアを見て笑う。
ボロミアは、簡単な事だとアラゴルンに笑い返した。
 
 
 
 
 
 
 
 
「両手とも思い切り引っ張るさ。」
 
 
 
「どっちがどうしたらとかは関係ない。自分がどうなろうが、両方とも棄てるわけにはいかないからな。」
 
 
 
 
 
 
 
 
「どうせ情深い男だからな、私は。」
そう嫌味を返す。
「…レゴラスもそれを望んでいるのだろうか。」
アラゴルンは顔を俯かせながら言った。
「本人に聞いたほうがはっきりすると思う…。」
そういうと席を立とうとするボロミアにアラゴルンは不思議な顔をした。
アラゴルンが声をかけると、「見張り交代だ、アラゴルン。」と振り向きざまに手を振った。
その言葉にアラゴルンは後ろを振り返れば…
予期したとおり暗闇の中でも光り輝く髪を持つエルフがただじっとたっていた。
「レゴラス、起きていたのか。」
座るように、アラゴルンは彼を促した。
彼は言われたとおりに、今までボロミアが座っていたところへと腰を下ろした。
「その前に眠らなかったか、エルフは。」
その言葉に安心したかのよう、レゴラスは微笑んだ。
暗闇の中だというのに、アラゴルンにはそれがはっきりと見ることが出来た。
「――私は棄てられると思っていました。」
アラゴルンは少なからず、その言葉に驚いた。
「でも、棄てられるとしても、欲されてでのその行為ならいいかなって。」
どこか恥ずかしそうに言うレゴラスにアラゴルンは思わず立ち上がりそうなのを抑えながら、レゴラスを見た。
「お前はどうして欲しい。」
静かに言うアラゴルンにレゴラスは、苦笑した。
「それを私に聞くんですか?」
聞いて私の云うとおりにするとでも?とレゴラスは草を炎の中にさらさらと落とした。
「それがお前の願いなら。」
草は火によって焼かれていく。緑がかかった色も、赤く染まり、いつのまにか色はなくなっていった。
存在すらわからない位に燃え散った。
「馬鹿ですね、貴方は。」
足を抱え込むような姿勢のまま、ただただ炎を見つめる。
「本当に馬鹿なんですから。」
どこか声が震えていた。
その声は泣いているだろうと直ぐに分かるもので。
アラゴルンは何故か自分を責めた。彼を脆くしているのは自分だ、と。
 
 
 
 
「It my darling person...」
レゴラスは呟くように言った。
その時アラゴルンはせき止めていた何かがはずれ、レゴラスの元へ立ち
後ろから、そっと抱きしめるとレゴラスもアラゴルンの服のすそを強く引っ張った。
勢いよく前へとのめり込みそうになると、すんでのところでレゴラスが引きとめアラゴルンに呟いた。
「離さないでいて欲しいに決まってるじゃないですか。」
と泣き笑いで言う。
その姿にアラゴルンも微笑み、より強く抱きしめた。
「馬鹿な私は、貴方の言うとおりに。」
 
 
 
 
風が強くなり、いつのまにか火は消えていた。
木々は灰になり、黒く粉になっていた。
だが、その中にはほんの少し赤のかかった草が残っていた。
 
炎の中にありながらも、存在をなくさなかったもの。
 
 
 
 
それはなにか―――大切な希望を与えてくれた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
*******************************************END**
 
 
 
 『Foolish Emotion』の狩野夕霧サンに頂いてしまいましたヨ!!
ウッハーッハッハッハ!(危)す、素敵すぎるぅ〜ッ!!
んもぉおおお王子!王子!!王子!!!(うるさい)
愛しい愛しいイトシイーッ!!だきしめてぇーッ!!!(また言うた)
切ないっすよね!!切ない系大好きッスオイラ!(聞いてない)
うっふっふっふ〜vもうアタシャ幸せ者ですv
狩野さん!ありがとうございましたぁあ!!!


え・・ブラウザ閉じるの・・?

 
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