今はもう居ない偉大な王に、華を捧げに行こうとおもいます。

         
+++捧げる華+++

今はもう居ない偉大な王へ。
今はもう居ない愛しい貴方へ。
あなたの好きだといった白い華を持って、私は貴方の墓を参るのです。


目指す場所は深い深い森の中の、少しだけ高い丘で。
そこに、私の知る限りで誰よりも勇敢で賢くて偉大で愚かな王が眠っている。

知っていたの、いつかはこうなる事ぐらい。
貴方は人間。
弱くて脆くて崩れやすくてでもだから強くて暖かい。
私はエルフ。
強くて永らえて恵まれていてでもだから最後は孤独しか残されない。
知っていたのに、あなたも知っていたはずなのに。


「久しぶりですねアラゴルン・・・・・」
口もとをを歪ませて微笑みの形をかろうじて作って、貴方の名の彫られている石の上
にその白い白い華を置く。
「逢いに、きました、よ」
座り込んで墓石にそっと手を触れる。触れるのは冷たいけどどこか心地よい感触だ
け。


「あのね、もうみんな居なくなってしまってね」
あの時一緒に旅をした仲間は。
もうみんな居なくなってしまっていて。
残されたのは、私一人。
「みんなあの時確かに居たはずなのにね、あの時一緒に戦ったのはね、旅したのは
ね、笑ったのはね」
確かに自分も彼も皆ともにすごした事は、事実なのに。
「現実で、確かにあったことのはずなのにね、今ではもう嘘みたい。夢みたい」
確かにあったこと。現実だったはずの事。一生の友情を誓った物達。
いまは、もう。

私 は ま た ひ と り に 。

すぅ、と冷たい感触を頬が伝って、数秒後あぁ涙なんだと気づいた。
昔はけして流さないと決めていたもの。
泣く事なんて笑えば堪えられたし、謡えば奮える声ぐらいいくらでも閉じ込められた
し。
だから泣かなかったはずなのに。
今はこんなにも簡単に。
「恥知らずになったのかな、私は」


「皆、笑ってたけどね、私もね、笑ってたけどね」



貴方とね、キレイなキレイな夕星姫が婚礼したときに、私は笑ってたけどね。


「本当はね、本当はね。泣いてたんだよ」


悲しくって苦しくって辛くって馬鹿馬鹿しくって疲れてて泣いてたんだよ。


「ねぇ、知ってた?」


知っていた?あなたの瞳に私は映っていた?
あの微笑みかける灰の瞳が、『信頼』ではなく『愛情』だったらどんなによかった
か。
どんなに願ったか。
あなたは、知っていた?





「ねぇ、知って、た?」



でもね、でもね。苦しかったけどね悲しかったけどね。
愛しかったの。幸せだったの。
貴方と過ごした日々は、私に絶望感とそれ以上の幸福をくれたの。
アリガトウ。
そういいたかったの。



「あのね、あのね、泣きたくてね、仕方ないときね、一緒に居てくれてありがとう」
あなたのことでないてるだなんて知らずに、一緒に居てくれてありがとう。
嬉しくって悲しくって、愛しくって恋しかったよ。



「アリガトウ」



「愛しています」




墓石にそっと口づけて、最初で最後の告白を―――――。





                              *FIN*


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
うおおおおおお!(うっさ)麻生さんにいただいてしまったです・ヨ!!!(ドカーン)
切ない系万歳!切ない系万歳!大好きー!!!(暴走)
もうむちゃくちゃ大感動です!本当に本当にありがとうございましたーッ!!!

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