闇夜の胡蝶

〜邂逅と狂気〜












賑わう町の一角。

他とは漂う雰囲気の異なった宿があった。

ここでは一晩の宿と美しい蝶との一晩の夢が買える。

久しぶりに大きな町に寄った男は、その宿に足を踏み入れた。



「いらっしゃいませ蝶屋敷へ。ささ、どうぞ上がられませ。」

番頭に促されて宿の座敷へ足を運ぶ。

襖を開くとそこでは大勢の蝶たちが買われるのを待っていた。

日が落ちてもう結構な時間が過ぎているため他の客に買われてあまり多くはいない。

数人が寄ってきて誘いをかける。

どれも美しくはあるがさして抱きたいとも思わない。

ゆっくりと座敷を見渡し、一箇所で目が留まる。

座敷にいる他の蝶とは違って客を誘うでもなくただ黙して座っている。

上座に座っているのを見ると、大きな稼ぎを作ってはいるのだろう。

けれど客を誘うこともなく、また客に誘われることもない。

ゆるりと伏せていた顔を上げてこちらを見てくる。



なんと、美しい蝶なのだろう。



感慨にふけっていると、横にいる蝶が視線の先に気づいて囁いた。

「旦那はん、あきまへんえあの子は。あの子は買ったらあきまへんよ。」

「あの子はある城主はんのお気に入りどすえ。その城主はんはお気の短こうお人でしてな。」

「こうして蝶屋敷に置いたままやのにあの子を買ったお客はんをお手打ちしはるんや。」

「せやから事情をお知りのお客はんはだぁれもあの子を買いまへんのよ。」

「悪いことは言わへんからよしときなはれ。」













「お前、名は?」

「ここでは緑葉と言います。」

緑葉と名乗った先程の蝶は他の蝶と違って訛りのない喋り方だった。

「訛りはどうした?」

「それは…私を買いにいらっしゃる城主さまが……。」

「強欲な城主だな。」

鼻で笑って一蹴すると、それまで伏し目がちだった緑葉が顔を上げて男を見詰めた。

「なんだ?お前を買うのには相応しくないか?」

笑いながら言うと緑葉は首を横に振って「いいえ。」とだけ言った。

簪が動きにあわせて揺れる。

その顔はひどく憂いを含んでいた。











男は緑葉の晩酌で一頻り酒を飲み終えると緑葉の体を撫で始めた。

それは明らかに行為の前の前戯の仕草で。

「………い、いけません!私を抱けば貴方は殿に殺されます。どうか今からでも…」

「野暮なことを言う。自分の様を見て言ってるのか?誘っているようにしか見えんぞ。」

ゆっくりと着物を肌蹴させながら男は白い肌に唇を這わせた。

胸の突起を甘噛みして内股を撫で上げると華奢な体をぶるりと震わせる。

「…あ…んっ、いけません。どうか…」

体は快楽に溺れ始めているのに意識はまだはっきりしていることに舌打ちして噛み付くように唇を奪う。

時折漏れる声さえも飲み込んで深く深く口付けた。

そのまま床に組み敷いて着物を剥ぎ取る。

ようやく解放すると口と口を銀糸が繋いでやがて垂れる。

白い肌にいくつかの紅い痕がひどく映える。

畳に散らばった透けるような白金の髪を一房拾って口付けた。

深い青の瞳から滴が零れだす。

「また、私を抱いた人が殿に殺される……。」

嗚咽を上げる緑葉を落ち着かせて目元の滴を舐め取る。

「…今はわたしに抱かれていることだけを考えろ。」

男はそう言って美しい金の蝶を抱いた。



















それから数日が経った日。

蝶屋敷に例の城主の姿があった。

隣にいるのは勿論。

「緑葉よ、お前は変わらず美しいな。」

「…光栄に御座います、殿。」

酒を注ぎながら影を落とした面持ちで答える緑葉を楽しむかのように笑った。

「そういえばお前を買った男がいるそうじゃないか。」

びくりと肩が揺れて注いでいた酒を僅かに城主の膝元に零してしまう。

「も、申し訳御座いません。」

慌てて自分の着物で拭こうとする手を取って城主は笑った。

「仕置きをせねばならぬな。」

「あ………」

緑葉の目が恐怖に見開かれる。

「殿、どうかお許しくださいませ…。」

両手を合わせて深く頭を下げるが顎を掴まれて乱暴に引き寄せられる。

「我は気が短い。それはお前がよく知っておろう?愛しい緑葉。」

唇を重ねてねっとりと下を絡め取られる。

緑葉はこの後にされるであろう仕打ちを思ってただ恐怖した。










「名を呼べ緑葉。」

激しい苦痛と快楽を与えられながら痛めた咽で掠れ切った声を発する。





「サウロン様……。」






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キャー!キャー!キャー!愛するキヨさんに5万記念にいただいてしまいました!
アラゴルンの手が!レゴの美脚が・・・!(変態!)
しかも!素敵文付きで!なにげにサウレゴですよ???(アホ)
素敵ー!サウロンさん素敵ーィイー!惚れちゃう!(鬼畜なのに!)
本当にありがとうございましたーvvv


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